楽園への逃避行 diary

映画やその他の雑多な事について書いてます🌸

君の名前で僕を呼んで 感想その4

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3回目を観てきました(≧∇≦)


と、下書きしたままブログを続ける前に、地元の上映が5月24までということを知って、4回目を最終日に観てきました。


3回目に観てからこの作品に衝撃を受けた方の感想を公式HPで読んだり、TBSラジオの朝の番組で取り上げられた時の放送を聞きました。

ラジオの女性パーソナリティが、多くの先輩女性の方々からこの作品をぜひ観るように勧められたと話していて、私も腑に落ちました。


この映画の時代に思春期、青年期だった年令層にかなり「刺さる」んです。私を含めて。

自分が過ごしたあの時代が目の前に再現されて、しかもイタリアの風景と全身全霊をかけた夏の恋を見せられたら、この世代にこそ刺さる。

監督のグァダニーノも同じ世代だから、脚本はアイヴォリーだけど、監督をすると決まってからは自分の映画にする、と強い気持ちで作ったそう。ほぼ原作通りの脚本は、エンディングは原作の途中まで。さらに監督はアイヴォリーの脚本のエンディングとは違う、エンディングにしたとのこと。

各国の映画祭でも絶賛されたエンディングのティモシー・シャラメの演技。圧巻です。

結局、原作とも脚本とも異なるエンディングになって、それが違和感なく絶賛されているって凄いことです。

原作が先にヒットしているにも関わらず、映画のエンディングに異論が聞こえてこない!

原作の世界観を壊してはいない、むしろ恋を失った苦しみをセリフ無しで視覚化していることが、受け入れられている気がします。


当時、主人公たちと同じ世代だった年令の人が観ると、一夏の恋のおとぎ話ではなく、自分の若い頃の経験と重なる人、多いと思う。


ここからは自分の告白めいた話を。


私も当時、2人の男友達との気のおけない付き合いの中で、男女の仲にまで踏み込めなかったこと、どちらかを選ぶ勇気が無かったこと。それを直後に後悔したのに、気持ちに蓋をして気づかないようにしていたこととか。

そんな気持ちが映画の感動と、自分の気持ちの蓋を急に開けられたこととが同時に起こって、動揺した…

4回目を観た時に、そう確信してからは落ち着いてきました。


あの時代に10代から20代だった人で、私と同じ、心の傷の蓋が開いてしまった方も多いはず。

懐かしむだけ、感傷にひたるだけでも少しシンドイ。


監督が自分のやり方で撮影した作品は、スフィアン・スティーブンスの素晴らしい曲との相乗効果で、国や文化を超えて支持されているようです。

オリヴァー役のアーミー・ハマーのファンの方を、ツイッターで知って、その方のツイから海外の情報を辿らせて貰ってます(╹◡╹)♡


海外メディアの主演2人へのインタビュー動画、トークショーなどでの動画に和訳もつけてくださっていて、本当に感謝です。

しかもそれは、去年11月のアメリカでの公開の前からのもたくさんあって、どれだけこの作品がセンセーションを巻き起こしたか分かります。訳をつけてくれてありがたいです。


私もすっかりティモシーとアーミーに魅了されてファンになってます。

2人へのインタ動画で、予算が厳しく報酬もほとんど無く、天候も雨続きて撮影のチャンスも限られた中で、俳優や監督、スタッフがファミリーの絆を作って完成させた作品だと語られてます。

特にアーミーはこれまでのキャリアを覆すくらいのエモーションを体験したようで、インタの中でも撮影当時を思い出して目を潤ませてるものもありました。

この作品が持つ愛の力。低予算でアート系の作品で、公開してもヒットしないかもしれない、そう感じながらも、心を繋いで作った映画なんでしょうね。そんな情報を知ってからは、改めてこの映画に、作品とスタッフの愛の力を感じます。


続編もとても楽しみだけど、この映画を観たことで、普通に生きる普通の人々が自分にとって一番大事な愛はなんだったのか、いまの愛が一番で良かったと思うのか。それぞれの感想を持つことの方がより良いと思います。


観た人が、今の生き方を受け入れながら、過去の自分も認めてあげたい、認めてあげて欲しいと私は思います。


きっと続編は、エリオとオリヴァーのそれぞれの世界、原作にもある「パラレルな人生」についてのストーリーになるのかも。

この作品の未公開シーンを続編に使うと監督が発表してるので、1作目のエリオとオリヴァーの映像も、続編で堪能できれば嬉しいな。


ああ、それと蓋が開いてしまった当時の私の気持ちは、勇気を出して確認してきました。会うのは20年振りの男友達の一人に。お互いに歳をとった姿を見て、私はエリオの父親の言葉が身にしみました( ; ; )

年をとって、もうだれも振り向いてくれなくなる…ということ。


私は彼に「結婚しなかったんだね?」と、この10年くらい聞けなかったことを聞いて、彼は「直前までは行ったんだけど、しなかったよ」と答えてくれた。いつも憎まれ口をきくタイプの彼が、素直に答えてくれたのは驚きで。

彼が素直に答えられる、辛い出来事からそれくらい時間が経っているんだなぁと思うと、切なくなりました。私はその時間が経つあいだに、家庭を持って子どもを産んで、今は子どもと2人の生活。平凡な人生を生きている。


映画の公開が終わって、今はサントラを聴くのと原作を読むの繰り返しです。


この作品は私の人生を変えたかもしれません。私の生活は観る前と変わっていないけれど、心は少しスッキリして、同時に、あの頃の痛みと後悔を感じています。少しだけ辛いな。


オリヴァー役のアーミーがインタで、「役者ひとりの力は小さいし、社会を変えることも出来ない。でもこの映画を観たある人が自分の家族にカミングアウトしたと、ツイッターで呟いたのを見かけて、とても感動したよ。作品は確実に一人の人の人生を変えたんだ!素晴らしいよ。役者を目指していた若い頃に学んだことが、まさにその事だった。初めてこの作品で経験したよ」と話していました。


さて、上映が終了してしまってからのアレコレも書きたいので、また次回、続きを書きますね。